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り~ぶ開設への思い

 私は、30年以上看護師として病気と闘う多くの患者を看てきました。その多くはがんと闘う人たちです。その出会いから、病気の背景には医学だけでは解決できないさまざまな問題があると感じてきました。

「後悔のない人生を送りなさいよ」と言ってくださった患者さんの言葉

闘病中の多くの患者さんから、この語りを聞かせていただきました。

「もっと早くに対処しておけばよかった」「仕事ばかりせずにもっとやりたいことをやっておけばよかった」「定年後には家族みんなで旅行に行こうと思っていたのに…」

人生の先輩からの語りは私の胸に深く刻まれていきました。どうしたら後悔のない人生を送れるのだろうかと。

そんな時、最期まで病気と闘いながら、自分のやりたいことも諦めない方たちとの出会いもありました。なぜ、そんな生き方ができるのかと、その方々の人生の物語をたくさん聞かせていただく中で、私は気づいたのです。

最期まで自分らしく生きる方たちは、自分で自分の生き方の選択をしていた!

  その方々は、自分の人生のコントローラーを自分でしっかりと握っていたのです。

主治医にはもちろんの事、あらゆる方面からの情報を集め、自分の人生計画や価値観・信念に合う選択は何か考え、納得したうえで治療や生き方の選択をされておられました。

それは治療だけに関わらず、今までの人生の選択においても、「自分の人生は自分のもの。自分で決める」という考え方を持っておられたのです。

心身の不調は、ストレスサイン

 人は”ホリスティック(全人的)な存在”です。

「ストレスは万病のもと」「病は気から」という言葉があるように “こころとからだ”を分けて考えることはできません。

もしかすると、不調で受診した時に、医師から「ストレスから来ていますね」と言われた方も多いのではないでしょうか。でも、病院ではストレスの対処法を教えてはくれません。

 私は、今の病院制度では、こころの問題や社会とのつながりやスピリチュアルな側面の困りごとなど、ホリスティックなアプローチを行うことは難しいと気がつきました。

西洋医学は肉体の治療には欠かせないものです。 しかし、人は肉体だけが治ればよいのではありません。

そこで私は、肉体に対する最高の医療である西洋医学の治療と伝統医学による癒しの両輪で、全人的なサポートすることが大切なのではないかと考えるようになりました。そして私は、根拠あるホリスティックなアプローチの学びを探求し始めたのです。

「こころと身体はつながっている」を実感する出来事が!

 ここで、私の経験談を少しお話ししたいと思います。

緩和ケアチームメンバーとしての新たな役割を担いながら、がん看護専門看護師の認定試験に向けた勉強に夜間休日問わずに追われていました。必ず合格してくれという上司からの期待は高く、プレッシャーを感じていました。さらには娘の大学受験も重なり公私ともに多忙な日々を過ごしていました。

そんな時、腰からお尻にかけて痛みを感じることようになっていましたが、私は「休んでいられない!」と鎮痛剤を内服しながら業務をこなしていました。数か月後、座ることも難しくなっていたにもかかわらず、鎮痛剤を内服しながら溜まっている業務をこなし続け、ある時、動けなくなり緊急入院しました。

下肢の麻痺が出現するほどの腰椎椎間板ヘルニアでした。それから3か月の寝たきり生活。この状況になっても手術以外の方法で何とかならないかと抵抗。しかし、トイレに行くこともままならない状況が続き、やっと手術を決断。手術後、歩けるようになった時には涙が溢れました。

私は、痛みという身体からの危険サインを無視し続けてしまっていたのだとやっと気づいたのです。もっと早く危険サインに気づいて身体を労わっていれば、麻痺するまで進行しなかったかもしれません。

私はストレスに対するセルフケアができていなかったと反省したのです。

大病になる前の予防=セルフケアが大切!

多くのがん患者さんが「あの時、受診しておけばよかった」「もっと早くに誰かに助けを求めればよかった」「無理しなければよかった・・・」と語られました。そして、私自身の病気体験や多くの患者さんをケアした経験から、ストレスが大きく病気に関わっていることを実感してきました。

ストレスを感じることによって、こころが乱れ、身体の不調となっているにもかかわらず、身体からの危険サインを無視して頑張り続けて・・・やがて病気となって身体に現れてくる。そのメッセージを早めにキャッチして対処することが大病にならないコツだと身をもって気づかされました。

病気や心身の不調は、自分らしい生き方を取り戻すチャンスになる

心身の不調にしっかりと向き合い、「私は本当はどうしたいの?」という本音に沿った生き方を選択していくことが「自分らしく生きるためのコツ」であるとわかりました。

心身の不調は、こころと身体の危険サインです。そのサイン=ストレスにしっかりと向き合うことで自分らしさを取り戻すチャンスになります。

 人は皆、セルフケアができる存在です。自分自身が持つセルフケア能力を高めることによって、病気や様々な心身の不調をコントロールすることができる潜在能力を備えています。

私は、多くの患者さんが持つ、潜在能力の凄さを目の当たりにしてきました。

潜在能力を最大限に生かすことで自分らしい人生を歩むお手伝いがしたい。病院では教えてくれない全人的で包括的な知識や知恵、経験を皆様にお伝えしていきたい。そんな思いで、「まちの看護相談室 り~ぶ」を開設するに至りました。

私の大切にしていること

 その人のいのち(力)を最大限に生かす
共に生きる・共に育つ 


「ケアをする人」「ケアを受ける人」という枠組みを超え、今この時を共に生きている仲間・共に人として一緒に成長し続けていきたいと思っています。