第3世代認知行動療法の代表である「ACT（アクセプタンス＆コミットメント・セラピー/トレーニング」をご存知でしょうか？ （※ACT＝アクト と読みます。）
人生には、避けられない苦しみ「生老病死」があるといわれます。その苦しみの沼に呑み込まれて、自分の人生の歩みを進められなくなってしまい、心身ともに苦しみを抱えてしまう場合があります。人は苦悩するものですし、人間の苦悩はどこにでもあります。ただ、心を穏やかにしておく方法があります。
その一つが「ACT（アクセプタンス＆コミットメント・セラピー/トレーニング」
ACTの目的は、「豊かで充実した意義ある人生を送るために、避けることのできない苦しみは受け入れながら、自分らしい人生を切り拓く」お手伝いをすることです。
心理的苦痛の底なし沼から抜け出すための、新しい「心との向き合い方」を教えてくれます。
ACTとは、どのような心理療法なのかをご説明いたします。
ACTとは、自分らしい人生を歩むためのサポート
ACTは、以下の3つのテクニックで、心理的柔軟性（心のしなやかさ）を育ててくれます。どんな状況にも、しなやかな心で対応できる方法を教えてくれます。
マインドフルネス
マインドフルネスとは、自分の体験を観察する方法ことです。東洋ではメディテーション（瞑想）が有名ですが、マインドフルネスは心理学の研究によって著しい心理的効用があることがわかってきました。
情報過多である現代社会では、注意力が散漫になりやすく、集中力低下を招きやすい状況にあります。
マインドフルな行動（十分に注意を払いながら、意識的に行動し、今、ここに体験していることに心を開き集中する）により、つらい気持ちや感情などの影響が少なくて済むように、効果的に対処できる心理的な技を学びます。
アクセプタンス ー 今をありのままに受けとめる
私たちは、今まで問題を何とか解決する方法で対処することを求められてきていました。ただ、目の前の問題を何とか解決しなければ！という問題解決思考の泥沼にはまってしまうと、そこから容易に抜け出すことができなくなります。その底なし沼から抜け出そうと、もがき苦しむことで、余計に泥沼にはまってしまうのです。
アクセプタンスとは、自分の体験に対して、オープンな心で、批判せずに、柔軟に、積極的に受けとめることを意味しています。そして、目の前で起きている出来事を客観的に見ることで、変えられることと、変えられないこと観察し、その中から、自己コントロールが可能なことに着目して、出来ることから行動してみることを考えるためのスキルです。
「今、この瞬間」におきていることを「それもあり！」といったん受け止めてみると、目の前の景色が違って見えてきたりするのです。
コミットメント ー 自分の価値に基づいて生きる
今、あなたは自分が望む生活をしていますか？ 自分の人生に満足していますか？
コミットメントとは、自分の求める生き方を自覚し、自分の夢を現実にする方法のことをいいます。ただ、簡単なことではありません。すべての人が、次から次へと「トラップ（罠）」を仕掛け、次から次へと「バリア（壁）」を造ってしまうからです。
ACTでは、その「罠」から自由になる方法と、「壁」をすり抜ける方法を学んでいきます。
あなたの人生において、何を大切にしたいのか、心の奥底にある本当に大切なものに気づき、本当になりたい自分に向かって、新しい行動をとることを助けていきます。自分の本当に重要で意味のあることに目標設定し、人生を豊かにする行動を支援します。
あなたも、心のしなやかさを育てて、自分らしい人生を歩みだしませんか？
当相談室では、コーチングセッションで、ACT（アクセプタンス＆コミットメント・セラピー/トレーニング）のアプローチを使って、サポートさせていただいております。詳細は、以下の記事をご参照ください。
最後までお読みくださりありがとうございました。
＜参考文献＞
- ラス・ハリス著 監訳：武藤崇 「よくわかるACTー 明日から使えるACT入門」 星和書店 2020
- スティーブン・C・ヘイズ他 監訳：武藤崇他 「アクセプタンス＆コミットメント・セラピー（ACT) 第2版」 星和書店 2022
- スティーブン・C・ヘイズ他 監訳：武藤崇他「ACTをはじめるーセルフヘルプのためのワークショップ」星和書店 2020
