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看護師の仕事はなぜストレスフルなのか

 私は30年以上看護師を続けてきました。看護師にやりがいと誇りを感じながら仕事をしてきました。

しかし、看護の仕事に疲れ果て、離職する仲間も少なくありませんでした。看護師の仕事は、その人の人生や命にかかわる重要な役割を担っています。そのため、看護師が背負う責任は重大であることは言うまでもありません。一方、看護師たちは様々なストレスや過労と闘わなければならない現実に直面しています。

私自身も親の介護が重なった時には、心身ともに非常に疲れ果てて、燃え尽き症候群(バーンアウト)に近い状態まで陥りました。バーンアウトは看護師の健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼすだけでなく、患者さんにも不利益を及ぼす可能性があります。

高い志をもって看護師になった仲間が、看護師という職業にやりがいと誇りをもって働き続けられるように、看護師のバーンアウトを予防するための対策について、いくつかの記事に分けてシリーズとして解説したいと思います。

この内容は、看護師の方々や彼(彼女)らを支える人たちにとって、是非とも参考になると思います。看護師を目指す人やバーンアウトの予防策に興味がある人は必見です。

目次

看護師は多職種チーム医療の調整役

 我が国は、戦後の医療の進歩や高度な医療の発展により、世界有数の長寿国となりました。しかし、現在はかつてないほど高齢化が進み、多くの方々が亡くなる時期を迎えています。2040年には、看取りの場所が不足する見通しとなり、医療費の増加も見込まれています。

この中で、地域包括ケアという概念が推進されており、「ときどき病院、ほぼ在宅」という理念が広まっています。入院期間の短縮や早期退院を促進する役割は、看護師にあり、患者と医師の間での調整役として苦悩しています。

また、医療における患者へのアプローチも変化しています。
今では「キュアからケアへ」という考え方が進められており、病気を抱えながらも自分らしく生活することを支援する方向性が重要とされています。つまり、身体的な治療だけでなく、全人的なケアが求められているのです。

そのためには、医師だけでなく、看護師はもちろんのこと、薬剤師や栄養士、相談員など、病院内にとどまらず地域で働く多くの専門職が患者をサポートするチームとして協働する必要があります。キュアとケアの両側面を理解している看護師は、その調整役としての役割を果たすことが増えています。

より良い看護師であろうとする高い意識

 看護師は一般的に、白衣の天使というイメージがあります。

彼(彼女)らは自己犠牲と自己愛の姿勢を持ち、患者に寄り添い、受け入れ、共感し、傾聴することが求められます。しかしこの姿勢は、専門家としての態度を追求しようとする中で身につけたものです。

看護師は救急現場や死を目の前にした際に自身の不安や恐怖といった感情を抑え、心の感覚を麻痺させるような状況に置かれることがあります。

このような経験を繰り返す中で、看護師は心身症の特徴とされる失体感症や感情・言語化症、過剰適応に陥る可能性があるといえます。

感情労働といわれる看護師の仕事

看護師は、患者の深い苦悩に寄り添い、その苦しみを真摯に受け止め、心からの共感を示すことが求められています。
重い病気を克服して新たな未来に進む患者を支援できることによる感動もあります。しかし一方で、「病い」にまつわる苦悩に心を寄せ、自身がその苦しみを体験しているかのような感覚になることもあります。

特に人生の最期に寄り添う場面においては、看護師は、無力感に苛まれ、何かできることはなかったのかと後悔を引きずる場合も少なくありません。看護師の仕事は、良い方向にも悪い方向にも感情を揺さぶる体験を繰り返しやすい環境にあります。

共感疲労を生じやすい

 共感疲労とは、「苦悩を抱えた患者への共感そのものによって生じる心理的疲弊状態であり、感情的なバーンアウト状態(佐藤寧子、がん×マインドフルネス、2018)」といわれています。


また、患者の苦悩に共感することにより医療者が身代わりになって心的外傷を受けるともいわれています。


そのため、感受性が豊かで共感力が高い看護師ほど、共感疲労を生じやすいともいえます。

マルチタスクをこなす看護師の仕事

 看護師の業務は、様々なタスクを同時にこなす必要があります。日常的な業務に加えて、緊急入院や緊急処置、患者の病状の変化に応じた治療薬の調整など、即座の対応が求められます。それに加えて、患者の生活上のサポートとして食事介助や入浴介助も行います。したがって、マルチタスクを正確かつ効率的にこなす能力が重要となります。


 しかしながら、人間の注意力は限られています。多くの業務をこなさなければならない状況では、注意力が散漫になり、さらに、忙しいと視野が狭くなり、より一層注意力が低下するため、ミスが起こりやすくなります。しかし、命に関わる仕事であるため、ミスは許されません。

そのため、非常に高い緊張感の中で正確な業務を遂行しなければならない環境下で常に仕事をしています。

看護師のバーンアウト予防の重要性

 今後、ますます医療は発展し、現場の改革は続くであろうと予測します。
ケアの中心を担う看護師が、健康で心身ともに健やかであることが、これからの高齢化社会においてますます重要な要素となります。
 日々感情が揺り動かされるような医療の現場において、その感情に振り回されることがなく、心の制御方法を学ぶことは、看護師にとって非常に重要であると考えます。私は、長年臨床現場で看護師をしてきた経験から、バーンアウト予防には、自らストレス・マネジメントができるよう訓練する事が重要であると痛感しています。

それでは、バーンアウトを予防するために、どんな方法があるのでしょうか?  今回解説した看護師がバーンアウトになりやすいリスク要因をもとに、次回は、その予防法について解説したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました♪

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