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看護師の「燃え尽き症候群」を防ぐ方法

看護師は、感情労働であるといわれるように、他人の中に何らかの感情変化(感謝や安心など)を起こさなければならないことや「ひたむきさ」や「他人と深く関わろうとする姿勢」を求められることによって共感疲労を起こし、燃え尽き症候群(バーンアウト)をおこし易くなります。バーンアウトは、仕事のうえで、日々の過大な情緒的資源を要求された結果生じる情緒的消耗感であり、過大な情緒的資源が要求される職務で発生しやすいといわれており、対人援助職はまさにこの条件に当てはまります。その中でも筆頭に挙げられている職業が看護師です。ではなぜ看護師はバーンアウトを起こしやすい職業といわれるのでしょうか。
これについては、以下の記事に書きましたのでご参照ください。

本記事では、バーンアウトとは何か、バーンアウトの兆候や予防策について詳しく説明します。看護師の方々や看護師をサポートする人々は、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

目次

バーンアウトとは何か?

燃え尽き症候群(バーンアウト)の定義と看護師特有の原因

一般的には、バーンアウトとは、職場や学校などでの長期間にわたる過労やストレスが原因で、思うように仕事や勉強ができなくなってしまう状態のことといわれています。
看護師においてのバーンアウトを考えるために、以下の定義が医療現場の状況を言い表していると思われますのでご紹介いたします。

より良い治療やケアを行おうとする強い意欲に溢れながらも、強いストレスに長期間曝された結果、極度の心身の疲労や感情の枯渇などをきたす症候群

先の記事にも記載したように、看護師は専門職としての高い意識や強い意欲を持っているがゆえに、バーンアウトに陥りやすいといえます。

緩和ケア領域では「役割ストレス」がある

緩和ケア領域では特に、「役割ストレス」があると言われています。

役割ストレスとは、職業上期待されている役割と、実際に実行している仕事内容のギャップによる役割葛藤が生じやすくなります。
どのようなギャップかといいますと、医学的に正しいことが、緩和ケア領域では正しくないことがあるからです。

緩和ケア領域では、看護師は全人的なアプローチをケアの中心とし、患者の気持ちに寄り添い、患者の希望を支え続けるケアを大切にしています。
特に終末期ケアにおいては、医学的には、余命がわずかな状態だとわかっていても、患者の藁をもつかみたい望みを支えようと寄り添い続けます。
さらに、患者によっては、長く生きる事よりも、「痛みがないこと」「大切な人と共にいること」「やり残したことをやりたい」等を望む場合もあります。
看護師は、それぞれの個人の思いを尊重しながら寄り添い続けようとすればするほどに、葛藤し続けます。

そして、強い意欲のある看護師ほど、ストレス状態として心身が発するサインに気づきにくく、意欲(気持ち)で乗り切ろうとしてしまいがちです。

知らずしらずのうちに、それらがストレスとして心身に影響を与えてしまうのですが、それに気づかず長く放置していると、やがてバーンアウトに陥ってしまうことになりかねないのです。

バーンアウトの症状とその兆候

バーンアウトの特徴的な症状には3つあります。

・情緒的・身体的な極度の消耗感
・熱意や関心を失う、無関心など脱人格化
・達成感の低下

具体的には、家に帰ったらぐったりして、他のことが何も手につかない、何も考えられないような極度の消耗感を感じる状態になります。やる気もおこらず、何も感じない状態となり、ただ淡々と業務をこなすような状態になったりします。笑顔を失う等表情の変化を伴う場合もあります。

バーンアウトに陥る前に気づくためには、どんな兆候が見られるかを知っておくと良いでしょう。

バーンアウトの兆候として個人的な状態では、判断力の低下や過剰に関わりすぎたり、人間関係でのトラブルが起こりやすくなります。
また、頭痛や胃腸障害、風邪などに頻回にかかりやすいなど、ストレスが身体に影響を及ぼしている状態は、バーンアウトの兆候と考えると良いでしょう。

また、チーム全体のバーンアウト状態の兆候として、「慢性的な士気の低下」「離職傾向が続く」「業務がスムーズに遂行されない」「スタッフ間で頻回にトラブルが起こる」等がみられます。
管理者の方はこのような兆候が見られたら、早めに対処することをお勧めします。

バーンアウト予防のためのセルフケア

バーンアウトの予防策は、「自分でできること」と「周囲の人ができること」の2つに分けられます。なかでも、自分で自分のために行うセルフケアはとても重要です。この記事では、セルフケアを中心にご紹介したいと思います。

自分自身を癒す方法のレパートリー数を増やしておく

ストレスの対処法には、大きく分けて、気分転換や発散をする等の方法と、問題解決を探る方法があります。

ストレスを感じたときに、まずは気分転換などを行いながら、上手にストレスを発散している場合も多いのではないでしょうか。
ストレスを発散する方法はいくつもありますが、自分にとっての効果的な方法をたくさん持っておくことをおすすめいたします。

例えば……
●カラオケ、風呂で歌うなど大声を出す

●おいしいものを食べる
●スポーツ、散歩、ウォーキング、ランニング、ヨガなど身体を動かす
●ガーデニング、散策など自然に触れる
●ハイキング、旅行などで、ストレス源から距離をとる 等々、いろいろな方法があると思います。

できれば、①一人でもできること ②多人数でできること ③家でできること ④外でできること の4つの視点で自分なりのストレス発散方法を持っておくと良いでしょう。

たくさん、自分を癒す方法のレパートリーを持っておくと、一つの方法が使えなくても、他の方法が使える!ということになり、よりストレスを貯めにくくなります。

自己理解を深めて、自身にとってのストレスの種を見つける

同じ場面を経験しても、それがストレスになる人と、ストレスにならない人が存在します。

例えば…
「友人に送ったメールの返信がすぐに来ない」という場面で、皆がストレスを感じるわけではありません。
ある人は「すぐに返事をくれないなんて失礼だ!」と怒るかもしれません。
別の人は「嫌われちゃったかも」と悲しくなるかもしれません。
また別の人は「きっと忙しいのかな」と思うかも知れません。
同じ場面においても、考え方は千差万別、人それぞれなんです。

自分自身にとって、どんなことがストレスの種になっているかを理解しておくことは、バーンアウト予防のためにとても重要なことです。

何が嫌い? 何がすき? 良いこととは何? 悪いこととは何?

この4つのポイントを自分に問いかけて、できれば紙に書いてみましょう。
そして、それぞれ、なぜそう思うのかという「その理由」も書いてみましょう。
その理由の中に、自分自身の価値観(大切にしたいこと)が隠れています。

特に、感覚的な「好き」「嫌い」の理由には、共通することが見えてきたりします。自分自身に問いかけて、あなたのストレスの種に気づくことが問題解決の糸口になります。

身体感覚への気づき=客観視力を高める

ストレスの種に気づくことができるのも能力です。

看護師は、マルチタスクが要求される中で業務をこなし、食事や排せつなど人間の生理的欲求を我慢しなければならないこともあります。
自然に感じる欲求を我慢する癖がついてしまうことにより、徐々に、自分自身の身体感覚に鈍くなってしまうリスクを抱えています。

頭痛や肩こり、腰痛など、さまざまな身体症状は、ちょっと無理してないかしら?という「身体からの危険を知らせるサイン」ともいえます。それを無視して無理していると、身体の維持のための重要な危険サインを見逃してしまうかもしれないのです。

私も実は大きな失敗を経験しました。
その頃、公私ともにいろいろな役割を持っていた私は、休日も惜しんで働いていました。何となく腰が痛いなと思っていたのですが、大したことはないと思い込み、痛み止めやシップを使いながら、そんな生活を続けていました。半年くらいたった頃、出勤前の朝、急に足が動かなくなり、着替えもできないほどになりました。さすがにこれはマズいと思って救急受診すると、腰椎椎間板ヘルニアで一部麻痺が出ている状態にまでなっていました。
歩くこともままならず、最終的には手術を受けることになりました。
手術後に、初めて歩いた時の感動は今でも忘れられません。

この体験は、ストレスへの対処を学ぶきっかけとなりました。

ストレスへの対処のための重要なポイントは、2つが挙げられます。
●身体感覚に気づく力
●客観的に事実を捉える力

これらを養う方法としておすすめなのが、ヨガやマインドフルネスです。
心の叫びは身体に現れます。ストレスに早めに気づくためには、身体感覚を観察するトレーニングを日頃から行っておくと良いでしょう。そして、「いつもの私」の状態を感覚的に理解しておくことが大切です。
特にヨガは、こころと身体の両面からアプローチするため、気づく力を養うためにはおススメです。
私自身も、手術後にヨーガセラピーを学び、心身ともに助けられました。

もしも関心がありましたら以下のブログもご参照ください。

一人で悩まない

自分自身の中に「何となく変だな」と思うような違和感を感じたら、一人で悩まず、誰かに相談することをおススメいたします。

一人で考えられる対処法には限界があります。
昔から「3人寄れば文殊の智慧」といわれるように、いろんな方の体験や智慧を頂けば、解決の糸口が見つかるかもしれません。

特に、心身の不調が長く続いている、眠れない、過食傾向などの身体反応がでいる場合には、専門家に相談することをおススメします。

周囲の人にできること

兆候を感じたら是非声掛けを!

看護師は、奉仕の精神が高い方が多く、限界まで頑張ってしまう傾向にあります。何かあったら、いつでも相談にのるよという温かな言葉は、安心につながります。気にしてくださる方が傍にいるとわかるだけでも、力になります。
もしも家族や仲間に気になる人がいたら、是非、声をかけていただけたらと思います。

最後に

看護師を志した仲間がバーンアウトすることなく、看護師という仕事に誇りを持ち続けてもらえることを願っています。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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